謎の会社、世界を変える。 エニグモの挑戦
- 作者: 須田将啓,田中禎人
- 出版社/メーカー: ミシマ社
- 発売日: 2008/03/14
- メディア: 単行本
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ITに携わるプロフェッショナルのあり方として、「技術者だけがそうであるのか」についてずっと悩んでいた。
ITには興味があるが、ITそのもの、技術そのものに情熱を注ぎきることができない。
ITをつかって何かを実現したい。その何かを考えることが楽しい。
でもこれはITのプロフェッショナルといえるのだろうか?
この本を読んで、「YES」であると確信が持てた。
須田さんは全く同じ悩みを持っていた。しかし、考え方を変えることで自分の方向性を見いだした。
「ITをうまく使いこなす」プロは存在する。
研究所でしばらくバイトするうちに、「プログラミングについては、本当に好きな人には勝てない」と痛感したのだった。
コンピュータが好きな人は、喫茶店に入るなり、ノートパソコンを広げてネットワークを組み始める。プログラムをみてもきれいだし、話していることもプログラムのことばかり。
普通の人が聞いても絶対に意味が分からないような関数の名前でしゃべり合ったりしている。
「ちょっと彼らとは人種が違うな」と思うようになった。
好きな人にはかなわない。そこまで自分はプログラムが好きでないし、彼らよりうまく作れる自信はないなと感じた。
ならば、「自分で作らなくてもいいか」と考えるようになった。自分は企画を立てて、それをこういう人たちに作ってもらえればいい。
自分は、今、IT業界に携わる人として、社会全体に置ける価値はあるのか?ということをものすごく気にしている。
ITのプロとしてどう社会に貢献できるか。IT業界での経験をどう活かすことができるか。
しかし、見積もりの感覚や、設計のレビュなどを通じて、IT業界の人と「発注側」として堂々と折衝することは既にできるようになっているだろう。
なにも技術そのものを提供できなくとも、ITが必要とされる場面で、ITの専門家と堂々と話ができる。そしてITを戦略的に活用できる。これだけで十分プロフェッショナルである。
そう考えることができた。
自分は技術的な能力の代わりに、企画やマーケティング的な能力が備わっているのだと思い込めばよい。
そしてその強みをどんどん活かしていけば良い。
そして、もう一つわかったこと、それは、起業なんてみんな「素人」がやってるんだってこと。やってみればできるんだってこと。
大学時代金融専攻だったから財務担当とか、もとSEだからシステム担当とかそんなもん。
【memo】
・面白いアイディアを思いついたら、同じアイディアを考えついた人が、世界に300人はいる。実現に向けて動き出す人が30人はいて、実現させるのが1人だ。急がないと行けない。決断とスピードが重要だ
・いずれ起業するのであれば、マーケティングの勉強は必ず役に立つ。さらにどうせ勉強するならマーケティングの本場であるアメリカでMBAに行きたいと考えるようになった。
MBAならマーケティングの勉強と同時に、経営についても一から学べる
・「マーケティングは感性だ」と思う部分と、「感性だけでは人を説得できない」という思いの両方がある。「こうしたら魅力的に見えるよね」という感性を論理的に説明できないと行けない。
・今思うのは、リスクは若いうちにとっておいた方がいいということ
・電通国際情報サービスで担当したシステムは、やっぱりクライアントあってのものです。自分たちの意志で進めている事業ではありません。
でも起業した瞬間に、そういう仕事のフレームが一切外れて、自分たちでどんな事業をどんな風にやってもいいし、どこにお金をかけてもいい。
仕事の幅と責任は格段と増えました。
クラインとの意向という枠組みの中で、最大限自分なりの工夫や努力をしていくのも楽しいですが、それとは違う次元の面白さがあります。
・人生で達成したいことを「実現していく」という意味での人生のコアタイムは「15〜65歳」の50年間になる。
そうすると33歳の自分はまだ1/3しか消化していないことになる。と自分を安心させつつ、いかにこの「コアタイム」の一年一年が貴重かを再認識させられている。