自助論 S・スマイルズ

1章 自助の精神

 ・外部からの援助は人間を弱くする。自分で自分を助けようとする精神こそその人間をいつまでも励まし元気づける

 ・すべては人間が自らをどう支配するかにかかっている。それに比べれば、その人が外部から支配されるかというてんはさほど重要な問題でない

 ・大切なのは一生懸命働いて節制につとめ、人生の目的をまじめに追求していくこと

 ・そのような人は地位や力がどんなにとるに足りなくても、社会の繁栄に大きく寄与している

 ・人間を向上させるのは文学ではなく生活であり、学問ではなく行動であり、伝記ではなくその人の人間性である

 ・人間の優劣はその人がどれだけ精一杯努力してきたかで決まる

 ・安楽で贅沢三昧の生活は、苦難を乗り越える力を与えてはくれない

 ・人生には足を止めて休んでいる時間などない


2章 忍耐

 ・天才とは人間の内なる情熱の炎を燃え立たせる力である

 ・ある一つのことだけを考えているとそれがきっかけとなってさらに深いところまで考えが及んでくる

 ・作物を刈り取るためには種まきが必要。その収穫の時期が来るのを忍耐強く待ち続ける必要がある。そして多くの場合、一番待ち望まれる大きな果実が実を結ぶのは一番遅い。
  一刻も早く成果を上げようなどと焦ってはだめだ

 ・秩序立てて仕事をすることを知らない人間はいかに才能に恵まれていようとも才能の4分の3は浪費しているも同然だ

 ・人は正しい知識が多くなればなるほどうぬぼれの心が消えていく



3章 好機は二度ない

 ・偉人は日々の身辺雑事を決して疎かにせず、むしろとるに足りないような問題でもそれを改善しようと力を尽くす

 ・偉人は誰にもなじみ深い平凡な物事を良く観察し、そこに潜む重大な意味を汲み取ろうとする

 ・広い分野を包み込む大きな精神が、偶然ある特定の方向へ向けられる

 ・我々を助けるのは偶然の力ではなく、確固とした目標に向かって粘り強く勤勉に歩んでいこうとする姿勢なのだ

 ・毎日一時間でよいから、無為にすごしている時間を何か有益な目的のために向けてみるがいい。そうすれば平凡な能力しかない人間でも、必ず学問の一つくらいはマスターできる

 ・時間は学ぶべき価値のある知識を吸収し、すぐれた信念を養い、良い習慣を身につけるために使われるべきである

 ・心に浮かんだ考えや、見聞きした事実は、必ず書き留めておく習慣を付けるべき。その方が強く印象に残り、重要なことを忘れずにすむ



4章 仕事

 ・たとえ才能に恵まれた人でも、芸術の域を究めるには長年にわたる持続的な努力が欠かせない

 ・割りに合わない仕事でも注意深く心を込めて取り組め

 ・勤勉さ

 ・向上心に燃えた有能で勤勉な人間には、ここで行き止まりという柵はたてられない


 
5章 意志と活力

 ・努力の途中で手を抜いたり、つまらぬ口実を設けて仕事をさぼろうとしたりすれば、失敗は火を見るより明か。どんな仕事でもそれを避けられないものと考えればやがて手際よく気軽にこなせるようになる

 ・勤勉という習慣も、ほかの習慣と同じように時が経つにつれて楽に身に付いてくる。一度に一つのことのみに集中してやり通せば大きな成果が上がる

 ・心から真剣にもとめつづければ、すべては可能となる。だが、謙譲や忍耐、節度や寛大さを身につけたいと強く願わない限りは、何を望んでもかなえられはしないだろう

 ・熟した実は多くともそれをもぎ取る人間が少なすぎる、(教えを受ける人間は多いが、教える人間はあまりに少ない)

 ・中身を完全にマスターするまでは、その本を読破したなどと考えるな



6章 時間の知恵

 ・いかなる職業でも有能な人間になるには、天性、勉強、実践が欠かせない

 ・最短の近道は一番悪い道

 ・どんなにありきたりでつまらないことでも、決められた仕事をきちんとこなしていけば、残りの人生はその分だけいっそう素晴らしいものになる

 ・人生の幸福や繁栄が他人の助力や後ろ立てではなく、自分自身の力によって勝ち取れることを若者は自覚しなければならない

 ・吠える犬の方が眠っているライオンよりは役に立つ

 ・わずかな仕事でも完璧にやってのける方が、その10倍の仕事を中途半端にすませるよりはるかにまし

 ・ビジネスではささいなことがらをどう処理するかでその人の立場や力量が図られてしまう。

 ・仕事を明日に伸ばすと2倍時間がかかる

 ・一つの仕事に着手したらやりかけのまま放置して後で暇に任せて方つけるようなだらしないまねは絶対にしない

 ・何も考えない頭は悪魔の仕事場となり、怠け者は悪魔が頭を横たえる枕となってしまう。忙しく活動しているのは他人に空き家を貸しているのと同じで、逆に怠けているのは空き家を空っぽにしておくようなものだ。空き家になった精神には妄想の扉が開くにつれて誘惑が忍び寄り、邪悪な考えが群れをなして入り込んでくる

 ・正直は最良の策。ビジネスの場合も誠実さと正直な心が成功に繋がる

 ・ビジネスほど人柄の善し悪しが厳しく問われる分野はない。そこでは、正直かどうか、自己犠牲の精神に溢れているかどうか、公正かつ誠実に行動できるかどうかが求められる



7章 金の知恵

 ・倹約や将来の配慮というような現実的な美徳さえ、金とは切っても切れない中にある

 ・倹約は優れた人格者の基礎となる資質、すなわち分別や先見性や克己心を備えている証拠

 ・人生の若い時期に得た習慣は、悪に対する真の防波堤となる。

 ・自分で決めた規則と実際の考えや行動が合致しているかどうかを見定めるべき

 ・富だけを目当てに金を溜め込むのはしみったれた連中のすること。

 ・富はなんら人間の道徳的価値の証明にならない

 ・人生最高の目的は、人格を鍛え上げ、可能な限り心身を発展させること



8章 自己修養

 ・身体を動かしているとき、一番精神の喜びを感じる

 ・怠け者なら無駄に費やすようなわずかな時間をも十分活用してみるが良い

 ・知識の価値とは、どれだけ貯えたではなく、正しい目的のためにどれだけ活用できたか

 ・単なる楽しみと教育をはき違えてはいけない。おもしろ半分の乱読はだめ

 ・大切なのは知識の量より、知識を得る目的

 ・人生の成功は、知識ではなく勤勉によって得られる

 ・最初のうち人生がただで与えられたような気になっていても、しばらくするとちゃんと請求書が来る

 ・1000回あこがれるより1回でいいから勇敢に試してみよ



9章 素晴らしい出会い

 ・立派な行動や言葉はそれが結局は実を結ばなくてもいつまでも人の心に生き続ける

10章 信頼される人

 ・常に良心が命じる義務を果たし、結果は天に任せよ

 ・人は外見と内実を一致させなければならない。理想に現実を重ね合わせる努力が必要

 ・真の人格者は人に見られていようがいまいが正しく振る舞うもの

 ・立派な習慣を身につけるように気を配るのが一番懸命な習慣

 ・真の人格者は、他人に見える品性よりも自分にしか見えない品性を大切にする。それは心の中の鏡に自分が正しく移ることを望んでいるから

 ・他人に自説を無理に押し付けたりせず、求められたときにだけ自分の考えを堂々と披露する