マーケティング脳VSマネジメント脳 ローラ・ライズ アル・ライズ
マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?
- 作者: アル・ライズ,ローラ・ライズ,黒輪篤嗣
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/07/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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【読む目的】
・普段の実務があまりにマネジメント思考なため、より柔らかい視点であるマーケティング思考を養う。
【memo】
・左脳は言語で物事を考え、直列的に情報を処理する
・右脳は視覚的なイメージで物事を捉え、並列的に情報を処理する
◆マネジメントは「現実」に取り組む、マーケティングは「認識」に取り組む
・事実ではなく、消費者が事実にどう反応するか、つまり消費者の心の動きのほう
・(例)コカコーラ
→消費者にコーラとして認識してもらうためには、その赤っぽい茶色をしていなければならない。その認識を無視するのは致命的
→クリアコーラという透明のコーラは全く売れなかった
◆マネジメントは商品に力を注ぐ、マーケティングはブランドに力を注ぐ
・どの車も同じということではない。そこには大きな違いがある。しかしその違いは製品そのものの中には存在しない。それは買い手の心の中に存在する
・味覚テストでは、コカコーラよりペプシのほうがスコアが高い。しかし、売り上げはコカコーラの方が50%も高い。
なぜか?コカコーラは消費者の心に刻まれた最初のコーラだったから
・いすゞはアメリカで苦戦。→名前がよくない
ブランド名に失敗の原因があっても、右脳タイプの経営者は名前を問題視しようとしない。原因はいつでも商品にあるとされる。
・スタバのコーヒーがおいしいのは、スタバのコーヒーがおいしいと消費者が思ってるから
◆マネジメントはブランドを持とうとする、マーケティングはカテゴリを持とうとする
・客が最初に選ぶのはカテゴリであり、カテゴリが選択された上で初めてブランドは選択される
・カテゴリを支配することがマーケティングの最大の目的
→ブランドはカテゴリの代表格になってはじめて価値が生まれる
・鳩の巣箱がカテゴリで、鳩がブランド。典型的な左脳タイプの人間は、一羽の鳩を二つの巣箱に入れようとしている
◆マネジメントはより良い商品を求める、マーケティングは他とは違う商品を求める
・任天堂は他とは違う商品を目指して大成功した
・新しいカテゴリを築いたら、自社がそのカテゴリの草分け的存在であり覇者であると広く印象づけるような仕方でカテゴリの知名度を高める
・新しいカテゴリには新しいブランド名が必要
◆マネジメントは降るラインナップを好む、マーケティングはラインナップを絞る
・なぜか?マーケティング計画においては、売ることは第二段階だからだ。第一段階は消費者にブランドを憶えてもらうこと。
フルラインナップではそれが難しくなる
◆マネジメントはブランドの拡大を図る、マーケティングはブランドの縮小を図る
・売り上げより利益を伸ばすべきであると考えると、ブランドの縮小を図る必要がある
・的を狭く絞ることで業務の質は高まる
→サウスウエスト航空(ビジネス客、エコノミーのみ)
◆マネジメントはファーストムーバーを目指す、マーケティングはファーストマインダーを目指す
・最初に消費者の心に入り込んだブランドが必ずと言っていいほど勝利する
・ブランド名がカテゴリの通称として広まる必要がある。(ipod など)
・シンプルな名前の方が成功する。
・マネジメント人間は新カテゴリの名前を決めるとき、まじめに考えすぎる。重要なのは新カテゴリの利点を伝えることではなく、
新カテゴリの本質的な特徴をできるだけシンプルな言葉で表現することだ
・右脳タイプのマーケターは急がない。じっくり時間をかけて消費者の心の働きかけようとする
◆マネジメントは市場の中央を狙う、マーケティングは両極のどちらかを狙う
・万人にアピールするというやりかたは愚の骨頂
・右脳タイプはどんなことにも二通りの方法があると考える。どっちつかずのやりかたは絶対に避けなくてはならないことも知っている
◆マネジメントはすべてを詰め込もうとする、マーケティングは一言で表現しようとする
・右脳タイプのマーケターは要約した一言を提供しようとする。そうしないと消費者がそのブランドを分類し、憶えておくということができない
・消費者が買うのは、位置づけのはっきりした商品
・実際には最高とではなくても、そう思われているということが重要
・一つのブランドにつき、一つの言葉、コンセプトを憶えてもらえたらラッキー
◆マネジメントは抽象的な言葉を使う、マーケティングは視覚的な表現を使う
・UPS
「UPSは、配送業者ではないのですか?」
「違います。UPSは、流通の会社です。」
→こうして生まれたコピーが、「商取引の世界をシンクロナイズ」
→これでは消費者には何が言いたいのかわからない
・左脳タイプの経営者は、何かと高尚な言葉を使って、マーケティングの仕事をしばしば複雑にする
・具体的な言葉ほど視覚化しやすい。詩的な響きがあって覚えやすい
・NTTデータ って意味が分からない。何をしている会社なのかわからない
◆マネジメントは才気を重視、マーケティングは実績を重視
・いったんブランドが築かれると実績を示すことをやめてしまう会社が多いが、大きな誤りだ。実績を示して初めてブランドは築かれる
・意味の分からない、記憶に残らない、言葉遊びだけのスローガンは才気や創造性が犯人
・広告の原則は、繰り返し
◆マネジメントはダブルブランド派、マーケティングはシングルブランド派
・多くのCEOはなんでもかんでも自社名をブランドに冠そうとする
・消費者はダブルブランドより、シングルブランドを選ぶ
・最強のブランドとは、独立したブランドであって、親ブランド名とか会社名とかを必要としない
→会社名により新しいブランド名がかすんでしまう
◆マネジメントは情報を伝えようとする、マーケティングはポジションを獲得しようとする
・広告の役割とは、情報を伝えることではない。商品の位置づけをすることだ
・ロレックスの情報はほとんど知らないが、最高の時計であることはわかる
◆マネジメントは顧客を一生手放すまいとする、マーケティングは顧客を短期間で手放すことをいとわない
・ブランドは人生の段階を示すしるしだ。私たちはその段階を上がるたぶ、ブランドをかえることでその進歩を確認する
◆マネジメントは割引券とセールが大好き、マーケティングはそれらが大嫌い
・消費者に、「通常の価格が高すぎる」と思われてしまう
◆マネジメントはライバルのまねをする、マーケティングはライバルの反対を狙う
・マネジメントの人間は得てして内向きだ。うちはどういう会社か?うちは何を目指しているのか?うちはその実績のために何をしたらいいか?を考える
・マーケティングは外向きだ。トップブランドはどこか?そのトップブランドとの違いをどのように打ち出していったらいいか?を考える
◆マネジメントは名称の変更を嫌う、マーケティングは名称の変更をいとわない
・消費者はイニシャルをみると、その意味を考えようとする
・愛されるブランドのニックネームは正式に採用されたら台無しになってしまうものがたくさんある
→アメックスなど
・ブランド名で大事なのは、見た目の長さではなく、発音したときの長さ
◆マーケティングがいかに優秀でも、戦略に関する最終的な決定権はマネジメントにある
→大局的なコンセプトを説くときは、分析結果を交えること。論理的な人間に直感的なアイデアを説くときは、裏付けとなる事実やデータが必要