カップヌードルをぶっつぶせ! 安藤宏基

安藤百福の最大の特徴は、「執念」

 「考えて、考えて、考え抜け。私が考え抜いたときには血尿が出る」
 「発明はひらめきから。ひらめきは執念から」

・眠っているときに思いついたアイデアを書き留める習慣があった。いつでも枕元にペンとメモをおいていた

・「物事は漠然と考えていてはだめだ。一心不乱に考え続けているからこそ、睡眠中にふっとアイデアが浮かび上がってくる」

・見飽きるかどうかを自分の目絵体感することが創業者の流儀だった。ロジックと体感の整合性を図っていたのである。決定は決定ではない。本当にこれでいいのかとぎりぎりまで考える

・普通商品は複雑なものから単純なものへ進化するが、チキンラーメンはその逆だった。いきなり究極の簡便性を表現してしまった

ウォークマンは正しい文法だとウォーキングマンカップヌードルもnoodlesが正しい。しかし、ブランド名は文法にこだわる必要がなかった。

・「騎虎降り難し」いったん虎に乗って走り出すと背中にしがみつくしかない。 → 逆に勇気をもって飛び降りろ

・創業者は一つの仕事が終わると、もう次のアイデアを探している。せっかく起こした事業には執着しない。事業を継続して育てていく仕事が苦手
 →これも一つのスタイルだと思う

・「仕事を戯れ化せよ」我を忘れて夢中に破がらくための最上の方法。興味を持って取り組んだ仕事には疲労がない

・私はネーミングを考えることが好きである。自分が考えた商品名が世の中に広がって、人々の口から日常的に出てくるのを聞くと、たまらなく幸せな気分に浸れる

・「食足世平」食が足りてこそ世界は平和になる

・画期的な新製品を生むために必要なのはイノベーション、すなわち技術革新である。そしてその技術をブランド化し、売れる仕組みを作るのがマーケティングの役割である

・「何々するな」ではなく、「何々せよ」という

・「ブランドマネージャ制度」上司への不満は社長に直訴しても良い

・他人の口を借りてものをいうな。自分に自身がない証拠である。自分が体験から肌身で感じたこと、考えたことを自分の言葉として話さないといけない。そうでないと人の信頼は得られない。
 私は社員を「肌感覚」の強い人間と弱い人間とに識別して観察している。

・BMの条件
 「現状に不満を持っている人」
 「何かに興味を持って追求している人」
 「考える習慣が身に付いている人」

・「変人」の発想がブレークスルーを可能にする。奇人変人比率は20%が理想。30%を越えると会社がつぶれる

・あるバイヤーは「営業よりBMから話を聞く方が面白い」という。新製品の企画内容や、拡販策や、CM策をいち早くきけるので売り場の計画がたてやすい。
 やはり思いが伝わる開発者のほうが、バイヤーには受けが良かった

・「マトリックスマネジメント」BMがブランドごとの売り上げを最大化する。一方各地方の支店長はブランド関係なく、エリアごとの売り上げ最大化を図る。
 これにより全社的な最大売り上げを調整できる。エリア支店長は「売らない権限」を持つ。BMは支店長に対して売り込みを賭ける

・責任は個人で負うもの。連帯責任は無責任

・私が知りたいのは、その人の価値観である。価値観が分かればその人の仕事に対する考え方や適正がつかめる。配置転換や将来の役職を与える際の大変有効な判断材料になる。

・「無人島体験」便利な生活になれすぎて、失った自活力を取り戻す
 自活力とは何もなくても生きていけるという自信である。一瞬の腹の座った状態であり、会社でどんな非常事態が起こっても自活力のある人は決して慌てない

・私はネーミングや商品企画、マーケティングのアイデアなどを決めるとき、10人全員が面白いと言ったものはまず採用しない。全員賛成の意見は当たり障りのないものが多く、
 やってみるとたいてい失敗する。逆に反対者が過半数を超えているときは、気持ちが高揚してやる気が出てくるのだ。反対する人は何か引っかかるところがあるから反対しているので、
 この心に引っかかるところが意外に大事なのである。顧客の心を捕まえるにはこういうギザッとしたフックが必要である

・日本人は、「いくらで買ったか」ではなく、「前はこんなに高かった」という情報に敏感

カップヌードルを食べて、「めちゃくちゃおいしい」という人は少ない。「いつ食べても」まあまあおいしいというところで止まっている。しばらくして小腹が空くと、また食べたいという気持ちが起こってくる

パターン認識としてのブランディング

・お湯を入れて3分間たったあと、ふたをめくった瞬間に見える具材の彩りやそのとき立ち上ってくる香り。めんを箸で持ち上げたときの重量感。実際に口に入れたときの舌触りやのどごしまで、
 これらすべてがカップヌードルの総体イメージ

・パッケージを見たとき、一瞬のうちに頭の中でこれだけのイメージを統合している→クオリア

・1にブレークスルー 2にファーストエントリー 3にNO1ブランド

・消費者のクレームが適切に処理されたときには、商品の再購入率は80%を越えるらしい

カップヌードルの世界戦略は「グローカル戦略」

・ブランドはグローバルに展開するが、中身はそれぞれの国のローカルなおふくろの味を取り入れている。

・これからは国と都市という戦略ターゲットの切り替えが必要
 →販売エリアを国や地域とするのではなく、世界30都市同時発売という戦略に移行する

・都市を中心にして同質化が進む。同じ国における都市と田舎の距離より、異国の都市同士のほうが近くなる