ザ・プロフェッショナル 大前研一
- 作者: 大前研一
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/09/30
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 52回
- この商品を含むブログ (76件) を見る
第1章 プロフェッショナリズムの定義
・感情をコントロールし、理性で行動する。専門性の高い知識とスキル、高い倫理観はもとより、例外なき顧客第一主義、あくなき好奇心と向上心、そして厳格な規律。
これらをもれなく兼ね備えた人材をプロフェッショナルと呼びたい
・スペシャリストは与えられた環境に適応して、その場その場において定められたやり方では誰よりも正しく、早く、上手に仕事をこなせる。
・ゼネラリストはどんな職能についても業務執行能力だけは抜群。スーパー・ゼネラリストは地位が上がっても地域が変わってもゼネラリストとしての能力に変わりはない
・プロフェッショナルは、どんなに大きく前提条件が変わってもその底流にある変化の本質を読み取り、誰よりも能力を発揮する
・スペシャリストとしての会計士や税理士が提供する財務サービスの大半がコモディティ化しありふれた存在になってしまった
・NTTDATA元社長 青木利晴「顧客には『誓約』を、自らには『制約』を課す」
・安全性を高めるには、想定外のことが起こったときにとっさに判断できるプロがいなければならない
・会社の論理で行動することは、とてもプロフェッショナルと呼べないばかりか、これからの時代、ヤバい
・「エンパワーメント」権限を広げて部下自身の力で解決させるのが良い
・「仕事を任せてくれない」と嘆いている人は次のことを考えよ
①権限が増えると顧客のどのような価値が提供できるようになるのか
②新しい権限を活用できるだけの能力とスキルが身に付いているのか
③新しい権限を使いこなせるだけの能力やスキルに乏しい場合、どうするのか
・部下の能力やスキルを見極め、その人の成長を考えた上で、ふさわしい権限の範囲を決める、そして部下の現在の能力水準とその権限に求められる能力水準のギャップを把握し、そのギャップを
自ら埋める覚悟を持って権限を与える。もちろん顧客に累が及ぶことのないように
・顧客に対してやらなくてはならない仕事を100とした場合に、部下がやれる仕事がXだとしたら、「100-X=自分の仕事」と心得ている人が真のマネージャ
・顧客には上司や部下の関係などどうでも良いこと
・基本から体系的に学び、身をもって実践し、その経験を咀嚼、蓄積し、その実学の知を自分以外の誰かのために提供するという訓練をつめ
・プロフェッショナルは、「磨き続けてしまう人」
・規律(=価値観)が確立されていない環境でいくら教育しても、成果は上がらない
・ルールがあればコンピュータに吸収される仕事ならできるスペシャリストに対して、道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と「判断」を持って組織を動かしていけるのがプロ
・ゼネラリストは何をやらせてもそつなくこなす人だが、性格の変わる場面での適応性はもっていない
・これらの人々は専門知識を勉強すればある程度身に付く。むしろ大切なのは、組織を動かすのに不可欠な人々や、業務の流れ、意思決定のプロセスなどについて熟知しており、また、ボトルネックを次々に解決していく力をもつこと
・21世紀は見えない空間との闘い。見えないものを見る力、構想力、分析力、インテグレート力、21世紀経済に対する正しい理解と洞察力が必要
第2章 先見する力
・これまで通りの「実体経済」
・BRICSなど新興国の台頭によっていまやほぼ常態化してしまった「ボーダレス経済」
・インターネットをが作り出した「サイバー経済」
・これら3つの経済の特性を組み合わせながら乗数的に富を創出する「マルチプル経済」
・旧来の戦略論は通用しない。成功は、「パーソン・スペシフィック(人材次第)」「タイミング・スペシフィック(タイミング次第)」
・「過去の経験や蓄積された知識」というフレーズを常識や固定観念と言った言葉に置き換える
→アンラーンする
・変化と失敗をたのしむ資質、余裕、好奇心があれば自らルールブレーカーとなって変化を生み出すことが可能。ルールブレーカーであることがルールメーカーたる条件にもなる
・意識的に仮説をたて検証する癖をつける
・途中で間違いに気付いたらすべて白紙に戻し仮説を再構築する。知的に怠惰な人たちはオールクリアができない
第3章 構想する力
・アイデアマンは先見性が感じられるが、言いっぱなしでその先の責任を負わない
・構想し、決断し、実行する へ踏み出してこそアイデアに命が吹き込まれる
・多くの人は前例や自身の経験に頼ってしまう。先見性があったとしてもこの必要条件と十分条件を満たせないまま、あるいは満たしているかどうかを厳密に実証できないまま、技術上の可能性だけを追いかけてしまうと単なる白昼夢におわる
・世界の主要市場には最初から等距離であること、つまり開発の段階から複数の市場を視野に入れて事業を構想することが重要
・いまや地球上には、学歴も、所得も、生活様式も非常に良く似た8億人の消費者が存在する
・既存と新規をANDでつないでしまうと、既存事業の固定費が足かせになって、新規事業へのアクセルを十分に踏み込むことができない。「あれもこれもシンドローム」
→ANDからORへ大きく舵を切り直し、かつコストの大半をインドにBPOするとか
・見えない大陸を勝ち抜くには、新旧両大陸に関する深い洞察と理解、そして徹底的な自己否定が求められる。ではそこで自分の何を否定し、何を活かすのか。これを取捨選択することも構想力
・現在進行形の事象、変化には必ずなにかの力が働いている。それを見抜いて外挿して事業の構想を練る
・深度の経済というものがある。特にサイバー経済においては、「狭く、深く、かつ速やかに」が成功の必要条件となる
第4章 議論する力
・discuss という言葉は、否定を意味するdisと恨むという意味のcussが合体した言葉。すなわち、反対したり反論したりしても「恨みっこなし」というのが本来の意味
・知識、学力は議論をするに必要な基礎体力
・ロジカルシンキングの基本は仮説構築、検証。
・仮説を目標や結論と勘違いしている人がいる。
・仮説を議論しなければその仮説は検証されることも修正されることも亡く時間の経過に従って知らず知らずのうちに目標や結論に変わってしまう。
・ロジックという普遍のプラットフォームに、理論や常識、個人の経験などのアプリケーションをのせていくことが議論する力の源泉
・ビジネスの現場では基本的に職位より真実が優先されるべき。そのために議論をする
・そもそもなぜやるのか? 野暮は承知であえて前提を問うことが肝心
・世阿弥「守、破、離」
まずは攻めの矢から自らを守り、次にあいての論理が手薄なところを破って、矢の向かうべき方向の誤りを指摘し、ともに当初の議論からは慣れて最善の着地点へ移行する
・ヘーゲルの弁証法
経営にも相矛盾するものを内包する、あるいは両シャン解決を同時に追求する側面がある。これはロジックではなくパラドックス
・時計は問題可決手法で追求できる技術の世界から、答えのでない雰囲気の世界へ移った
セイコー から ロレックスへ
・経営者のタクトの振り方はニュアンスの問題。自ら発するメッセージに対して社員がどんな反応を示すか知らなければならない
・消費者は国や文化的背景に関係なく、同じ時に同じものを求めるようになる
・グローバル化の時代に、ローカル化が進んでいる分野がある。「シンクグローバル、アクトローカル」
・本田宗一郎「やらまいか」
・松下幸之助「立ったら歩きなはれ」
・ナイキ「just do it」
・右脳と左脳を同時に使う。ある課題について右脳が左脳に一度でも負けてしまうと、次からは同じ課題に対して右脳は注意を払わなくなり、左脳に対する競争力が次第に劣っていく
・直感、洞察、創造といった右脳の力を、左脳がもたらす論理的能力に結びつける努力が求められる
・EQを高め、自分の情動を調整する能力、対人関係を良好にする能力、他社の心の機微を敏感に察知する能力をつける
・まず事実に基づいて質問し、問題の範疇を狭めていく。ここで使うのが左脳。次に戦略的自由度を探るプロセスでは右脳を駆使し、幅広く答えの可能性を見つけていく。そこから出てきた答えを再び事実に基づいて検証、評価し、選択の幅を狭め、最終的に1案にまとめる。このプロセスでは再び左脳型思考に切り替えなければならない
・解決策に対して、行動計画を立て、人を配置し、予算を計上し、実行するプロセスでは、その気にならない人を「その気にさせる」ための説得や、交渉が必要。ここで再び右脳
第5章 矛盾に適応する力